メモノート on Hatena Blog

まとまった考えが浮かんだら書いています

クラヴィコードの不思議な演奏会

京都の「カフェ・モンタージュ」の演奏会で、クラヴィコードという楽器の演奏を聴いた。クラヴィコードは、ざっくりと「昔のピアノ」のひとつだといっていいと思うが、とにかく出る音が小さい。その音は、照明を落とした半地下の会場で、演奏者をじっと見つ…

酒は酔いを、珈琲は覚めをのみ楽しむものかは

私の考えでは、お酒や珈琲は味がおいしいから飲むのであって、決して「効果」を楽しむものではないのだ。吉田兼好をもじれば、「酒は酔いを、珈琲は覚めをのみ楽しむものかは」。

音楽で感情を表現するには?

私は、私の大好きな曲を愛情を持って演奏するが、その演奏に対し、テンポが揺れすぎだから直しなさい、などと言われると、泣きたくなったものだ。「ディレッタントの誤り。それは、空想と技術を直接に結びつけようとするところにある。」とゲーテは言った。…

シュトゥックハウゼンのピアノ曲の楽譜

シュトゥックハウゼンのピアノ曲の楽譜を見ていると、形式から自由になることを徹底的に形式化しているかのように思える。異様な複雑さは頭でっかちなものではない。頭に浮かんだ自由な音楽を楽譜という形式に直接表現したらこうなったという感じ。ショパン…

科学の実験の面白さとは

科学の実験においては、予想と違うことが起こるのがもっとも面白いのだというのが多くの科学者の語るところだ。予想通りの結果が出ることはもちろんうれしい。しかし、本当の発見は予想が外れるところから生まれるのだ。そこから新たな思考の可能性が発生す…

質問力

以前とある場所で学生による報告会があり、学生が1人15分ほど、1日に10人ぐらい、パワーポイントを使って壇上で発表した。私も発表した。他の発表は聴講した。各発表の最後には発表者への質問の時間がある。私は1日に何回も質問をした。その日が終わった後、…

私はエレベーターが嫌いだった

私はエレベーターが嫌いだった。 初めと終わりにふうとなるのが気持ち悪かった。 今はたいていのエレベーターは平気になったが、 ときどきデパートなどでひどいのがある。 勘弁してほしい。 むろん飛行機も好きではない。 ジェットコースターに乗る人の気が…

抽象と具体、そして具体

抽象的なことの方が普遍的で価値があるという固定観念がずっと付き纏っていて、損をしてきたかもしれない。具体的なことに目を向けるのは大事だ。文章でもそうだ。抽象的なことを書く場合にも、具体的な事象の裏付けは不可欠なのだ。抽象的なことも、具体的…

泳げなかった私

私は小学校4年生まで金槌だった。水に体を浮かべるとはどういうことか?水の中では人間は呼吸できない。水に重いものを入れると沈む。小学生とはいえ私の体はスーパーで売っている米よりは重い。ならば、全身を水に委ねるとすぐに沈んでしまうのではないか?…

コンサートでの暗譜は必要ない

「コンサートでピアノを弾くときには暗譜で弾かなければならない」というのが、どうやら多くの人の意見のようである。アマチュアのピアノコンサートでも、多くの人が暗譜で演奏をしている。私もアマチュアでピアノを弾く人間である。人前でもしばしば演奏す…

知識が役に立つとは?

役に立つ、ということを考えるときに、多くの場合我々は、役に立つことと効率の良さを混合して考えているのではないかと思う。役に立つというと、ある知識を得たときにすぐに使える、という効率の良さを思い浮かべがちだが、しばらくしてから役に立つ・たく…

頭の中を整理するには?

「机の上が整理されている人は頭の中も整理されている」と、 小学校の先生が言っていた。 「読み込んだ専門書が何冊本棚に並んでいるかがそのまま君の実力だ」と、 大学の先生が言っていた。 頭の中は案外可視化されている。 身の回りを見渡してみれば・・・。

空想対話―――カフェでゲーテと小林秀雄に話を聞く

大学生: というわけで、食堂の帰りに久しぶりに博物館に行ったんですね。ちょうどジョルジュ・ヴァザーリの建築に関する展覧会をやっています。こういうのは会期がいつの間にか終わっていることが多いので、気付いたときに行っとかないとと思って……。その特…

昼飯の選択の自由

キャンパス内にある2つの食堂で、選択の自由ということを思う。一方は日替わりでメニューが決まっている。A・B定食、カレーそして麺。もう一方は「ザ・めしや」方式である。さて、与えられた定食メニューを何も考えずに享受するか(といっても選択肢はあるが…

大学生と堕落、を真面目に

大学に入って自由になり勉強しなくなって留年した、などという現象は俗に堕落と呼ばれる。しかし、これは「健康な」堕落だ。大学生の中にはそうでない堕落をしてしまう人もある、と私には思われる。我々はこういった現象を大学生の自由だ・堕落だという笑い…

ひらめきと勉強

どんなに勉強して知識を得たとしても、ひらめきがなければ何にもならない。ひらめきが来ないならば葬り去ってもらうがよい!歩く・寝るを軽視してはいけない。

音楽家はマジシャン

音楽家はマジシャンだ。種も仕掛けもございます!音楽について語る者は、マジックショーを見て超現実的な現象の存在を信じ語るようなものだ。それは驚きに満ちてはいるのだが。

意味について問うことと問いの生成消滅

「なぜこんなことをやらなければならないのか」という問いは、ある仕事に従事し初めた頃には誰しも持つものであるが、長い間その仕事に従事しているうちに次第に慣れてきて、それが自分の日常の一部となる頃には、自然と消滅する。また、その仕事に従事し、…

「遺ブログ」?

亡くなった人の遺品の整理、というけれど、こういうブログってブログ主が死んでしまったらどうするのだろう。ブログ主が生前に「遺ブログ」の整理をやっていればいいが、ブログ主の本名が明かされていないブログも多いので、ログインパスワードを遺族が発見…

人間の指先ってすごい

バイオミメティックスという言葉がある。それは「生物の構造や機能、生産プロセスなどから着想を得て、新しい技術の開発やものづくりに活かそうとする科学技術」のことである。(バイオミメティックス研究会:http://www.spsj.or.jp/c12/gyoji/biomimetics.ht…

2013年センター試験の小林秀雄

今年のセンター試験の国語に小林秀雄の文章が出題されて難しかったと評判のようで、私もトライしてみた。通学途中の電車とバスの中で解いたので、およそ30分くらいかかったことになる。以下はその感想である。 文章は論理的に読まなければならない。しかし、…

朝の電車で・・・

朝電車に乗っていると、走っていた電車が突然スルスルと停止した。なんでも緊急停車信号が出たらしい。原因は現在調査中とのこと。数分後アナウンスがあった。ある駅で線路内に人が立ち入った模様です。しばらくお待ちください。それからまた数分後アナウン…

量子力学の学び方

量子力学は古典力学のある種の改良であり、量子力学を勉強するときには、20世紀前半に生じた物理学上の問題は何だったのか、なぜその改良が必要だったのか、その結果どういう思考の枠組みができたのか、という歴史を学ぶ必要があると思う。古典力学を勉強し…

シャドー・イン・ライト ライト・イン・シャドー

言葉というのは面白い。「影」という言葉には「光」という意味もある。「星影のステラ」というジャズのスタンダードナンバーがある。思えば、ものに光が当たれば影ができる。光と影は常にセットだ。どちらかだけを取り出すことはできない。磁石のN極とS極の…

本を読んで分かるとは

理系の専門書を読んでいて思う。本を読んで読み手が理解できる内容とは、書かれた事柄に関して本の著者が理解した内容である。また、本を読んで読み手が内容を理解できるためには、本の著者は自分が理解した内容を明解かつ論理的に説明している必要がある。…

アルド=チッコリーニの2012年京都公演

我々の経験の価値というものは、そのときすぐには決められない。そういう類の極めて貴い経験というものが存在する。未来が過去を解釈する。そんなことを最近思っている。もちろんあることを経験したときに、何らかの感想を持ったり、良かった・悪かったとい…

考えたこと

しばしば言われるように、出会いは不意に訪れる。古本屋に立ち寄って、ドフトエフスキーの短篇集を見つけた。前期と後期の二冊あり―――ともに絶版になっているようだが―――長編しか知らなかった作家の本で珍しいので、両方買うことにした。前期の方に載ってい…

Debussy Preludes

我々は美術館で絵を前にしたとき、反射的にその絵の作者や題名を見てしまう。ある美しい絵を見て、それだけで納得することは稀だ。そして、例えばその絵がルーベンスの絵であったら、やっぱり、と思うし、無名の画家の絵であれば、そうなんだ、でも美しいこ…

学校での教育に不満があるとしたら・・・

私は学校教育に不満があるとしたら、それは―――詰め込み教育や逆にゆとり教育にではなく―――芸術教育と体育教育に対してかもしれない。なぜかというと、そこではほとんど「方法論」というものを教えてくれなかったからだ。体育では(私はからっきしだめだった…

本物の絵画の何がよいのか?

本物の絵画の何がよいのか。私は美術館の展覧会を見終わった後に売店で画集を眺めていると、必ずと言っていいほどがっかりしてしまう。先程見た絵画の生々しさが全然戻ってこないからだ。つまり、本物の絵画はまず、単純ながら、色、タッチという美的次元で…