クラヴィコードの不思議な演奏会
京都の「カフェ・モンタージュ」の演奏会で、クラヴィコードという楽器の演奏を聴いた。クラヴィコードは、ざっくりと「昔のピアノ」のひとつだといっていいと思うが、とにかく出る音が小さい。その音は、照明を落とした半地下の会場で、演奏者をじっと見つめ耳を澄ましていると、だんだんと聴こえてくる。見えるか見えないかの影絵を凝視しているかのような、不思議な感覚。
演奏会が終わってから、クラヴィコードを少し触らせてもらった。この楽器では、ピアノでいうところのハンマーにあたるタンジェントを弦にグッと押し付けて音を出す。だから、音を伸ばすときにはその間は鍵盤を押さえ続けていなければならないのだが、指先には振動がものすごくよく伝わる。そして音の微妙なコントロールも可能だ。「ピアノは実は弦楽器なんです」と言っていた人のことをふと思い出した。
「カフェ・モンタージュ」